雑穀にはどのような種類の仲間がいるかご存知ですか?種子を食用とするイネ科や他科の植物を穀類といい、雑穀はその一部です。
穀類のうち、米・麦に当たるものが主穀と呼ばれ、米・麦以外のものが雑穀として分けられます。
主穀にはたとえば、玄米や白米、小麦、大麦、とうもろこしなどがあります。これらは、現在、世界で主食として親しまれている植物ですね。
それでは、雑穀にはどんな植物があるでしょうか。
雑穀には、ヒエや、うるちアワ、もちアワ、もちキビ、高キビ、アラマンサス、粒ソバ、キヌア、黒米、エゴマなどが挙げられます。
その中でも、イネ科以外のものを擬穀と呼ぶことがあります。アマランサスや粒ソバ、キヌアなどのことです。
穀類の主成分は、炭水化物と呼ばれる糖質です。糖質は体を動かす燃料として、特に脳の活動にとっては一瞬も欠かすことのできない栄養素です。
他に、食物繊維、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンをバランス良く豊富に含んでいます。 雑穀の糖質は体の機能を充分に働かせ、適正スピードで吸収されて完全燃焼します。
人の体は、体に必要な燃料と材料と調整物質をバランスよく補給することで健全な働きを保つことができます。
雑穀には、1つ目に、欠くことのできない燃料源である「糖質」。2つ目に、体の材料になる「タンパク質」。そして調整物質としての「脂質」という3つの主要な栄養素が、生理的に理想のバランスで含まれています。
さらに、食物繊維、ミネラル、抗酸化成分等々の、体を調整する多様な物質が豊富な雑穀は、『薬膳雑穀』ともいうべき食物です。
雑穀は肥料を吸収する力が強いので、痩せ地でも育ちます。反面、肥料分が多すぎるとひょろっと育ち、実入れも悪く倒れやすくなります。地力の消耗は激しいので、連作は避けたほうがよいです。豆などと交互に植えるように畑を回す必要があるのです。
雑穀は一般的に春に種を蒔きます。そして、90日ほどが経つと茎がふくらんできて、ある時、ふくらんだ茎が裂けて穂が勢いよく出てきます。
おおよそ出穂から1週間で、穂の先にびっしりついたとても小さな花が咲き始めます。花といっても花びらではなく、ガクの間から顔を出しためしべとおしべが見えるのです。穂が出て25〜30日が刈り取りにふさわしい時期です。雑穀は収穫前、背が高くて傾いてしまうことが多いので、しばしば2人で効率よく作業します。
雑穀は、実は明治の初め頃は今よりずっと多く栽培されていて、人々は米の量に対して半分ほどを混ぜて食べていたようです。山間地では昭和30年代まで主食として食べていた地域も見られましたが、政府の西洋化政策で近代化が進むにつれ、急速に日常の食卓から姿を消していきました。代わりに30年代以降、消費されるようになったのが小麦です。
ちょうどその頃、一時的に雑穀がアトピーの治療食として注目され、急騰する需要に国産雑穀が不足しました。その結果、飼料用に輸入された、農薬や燻蒸薬品の使用の心配された雑穀が国産無農薬と表示して売られるなどの事態が起こり問題となってしまったことがあります。
輸入雑穀には安全面の心配がありますが、それ以上に大切なのがおいしさ。日本の雑穀はもともとおいしい品種がていねいに栽培されて種が継がれてきていますが、飼料用に栽培されてきた雑穀は食味などおかまいなしです。こういう雑穀にあたってしまった人は、雑穀そのものがおいしくないと思ってしまいます。
このような背景から、つぶつぶは、「国内で農薬不使用のおいしい雑穀を増やしていかないと大変なことになる」と考えるようになったのです。この、おいしい雑穀を流通させたいとの想いが、つぶつぶのさまざまな活動に現在も受け継がれています。(くわしくは信頼の生産者ネットワークのページをご覧下さい。)
雑穀は、1年に一度しか収穫できないということをご存知ですか。つまり40年間百姓をしている人でも、たったの40回しか収穫を体験できないのです。そのことはまるで、雑穀は、「大地と作り手の協働によって生まれているんだよ」という大切なメッセージを伝えてくれているようです。