食物繊維とミネラルが抜群に多く、良質のタンパク質と植物性脂質が含まれ、栄養バランスも人間にとってすばらしく優れた食べものであることが、近年の研究で明らかになっています。
雑穀は米や小麦に比べ、痩せ地や寒冷地でも栽培でき、乾燥や気候の変動に強い作物です。
灌漑も必要なく、わずかな肥料で育ちます。
これらは、作物栽培条件が緩いために、世界的に栄養度の低い生活を強いられている人々にとって新しい希望となるでしょう。
雑穀は病害虫に強く、農薬を使わずに栽培することが容易な作物です。
収穫後は長期保存が可能です。発芽能力も長年持続します。
欧米国では大量の肉を食べることへの反省がうまれ、雑穀が注目されてきています。雑穀を飼料ではなく食用とすれば、世界で少なくとも10倍の人たちを養えます。
毎日食べても飽きない、くせのない、おだやかなコクのあるおいしさが雑穀の特徴です。
動物性食品に変わるヘルシーでボリュームのある料理素材としての可能性があります。
ごはんではなく、おかずから栄養をとるという考え方が主流の栄養学ですが、近年、急速に穀物の栄養的価値が見直されてきています。
例えば、雑穀には1割近くのタンパク質と、7割の炭水化物が含まれています。これは、タンパク質を消化するのに7倍の炭水化物が必要であるという、体の仕組みとぴったり一致しています。
しかも、雑穀のタンパク質は必須アミノ酸のすべてが揃った消化の良い植物性タンパク質です。もちろんビタミン類やミネラル類の質とバランスも最高です。さらに、私たちの細胞が酸化してしまうのを防いでくれる、抗酸化成分も豊富なのです。
そうはいっても、生まれたときからおかず優先の食生活が当たり前で育った現代っ子は、おかずの少ない食卓では心も舌も満足できません。
その点、雑穀は、ごはんの仲間なのにおかずにもなれるユニークな食材です。コメよりも旨味が濃くてカラフル、食感も多様で栄養バランスはコメの数段上。ボリューム感もいうことなしです。ちなみに味にクセがないので活用範囲が無限大に広がる食材です。つぶつぶグランマゆみこは、雑穀で作るおかずをこれまでに数千種類編み出してきました。それらはとても美味しく、見た目も非常に現代的です。
食料自給、環境保全、健康問題への世界的取り組みが進んでいる中で、これらの問題を同時に解決し、人口爆発・食料危機を乗り越える鍵になる作物として、雑穀が世界の注目を集めています。
2000年1月に、東京で開かれた国連大学のミレニアム会議でも、インドの農業指導者Ms.スワミナタン博士が招かれ、環境問題部会で生態系の保護と栄養バランスの両面から、雑穀の重要性を提唱されました。多くの国々では、雑穀の保護と活用に向けて、国レベルでの取り組みが始まっています。