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見出し:つぶつぶマストアイテム 生産者レポート

雪の花(麹) 糀屋三郎右衛門 (東京都練馬区)

甘酒や味噌作りに欠かせない麹は、日本人の知恵が詰まった世界に誇れる発酵食材。原料や製法によって様々な種類がありますが、100%国産米を原料に、古来の製法で作られた「雪の花」は、真っ白い綿のような菌糸をかぶっているのが特徴です。作っているのは、東京都練馬区にある老舗、糀屋三郎右衛門。大都会に位置しながら、昔懐かしい田舎のような、のどかな雰囲気が魅力のこの店で、どのように麹が作られているのか、その様子を取材しました。

左から7代目・辻田雅寛、妻・美幸さん、義妹・和美さん

麹は日本人の必須食材

麹とは、蒸した穀物に麹菌(麹カビ)を植え付け、あたたかい室(むろ)に入れて繁殖させたもの。原料となる穀物によって、「米麹」「麦麹」「豆麹」などと呼ばれます。麹を煮た豆や炊いた穀物に混ぜると、温度によって糖化やアルコール発酵が進みます。高い温度で糖化したのが甘酒、常温でつけ込み発酵熟成させたのが味噌や醤油。低温醗酵で熟成させたのがどぶろくや日本酒です。高温多湿でカビの生えやすい日本では、麹が病原菌から身を守る役割を果たしてくれます。

麹を乾燥させる乾燥機

雪の花の製造工程

「雪の花」は、蒸した米に麹菌を植え付け、大谷石造りの麹室(こうじむろ)の中で、3日間繁殖させて作られます。室には、人がかがんで入れるほどの小さな入り口があり、中には培養中の米が敷かれた木箱がずらりと並んでいました。米の上には、稲藁のわらこもが被さっていて、木箱の中を保湿します。この状態で3日おくと、真っ白いほわほわの菌糸がかぶった麹になるのです。
とはいえ、ただ3日間放置しておけばいいわけではありません。重要なのは、室の中の温度管理。甘酒にも味噌にも使える「雪の花」に仕上げるには、40°C前後で繁殖させる必要があります。室の中には、鉄のパイプが通っていて、これがヒーターの代わりに。逆に温度を下げるときは、扇風機のような機器で風を送ります。毎回同じ質の麹を作るためには、室内の温度管理や米の状態に、常に気を配る必要があるのです。
できた麹は、一枚ずつ乾燥機に入れて低温乾燥させます。冬は一晩、夏は1日以上かけてよく乾燥させます。これにより、生の麹よりも長持ちする乾燥麹ができるのです。

大谷石造りの麹室、麹室の中は、繁殖中の米が敷かれた木箱がずらりと並ぶ、3日間培養してできた真っ白の麹

伝統と技術の変革期

「糀屋三郎右衛門が麹屋として生業を始めたのは、今から150年ほど前、江戸時代後期から。昭和14年に今の場所に店を構えました。現在は、7代目・辻田雅寛さんを中心に、ご両親と、奥さん、義兄さん、義妹さんの家族6人で営んでいます。店には楽しそうな笑顔と覇気のある元気な声が溢れていました。「発酵食品業界は、何世紀かに一度の変革期かもしれない」と、雅寛さんは言います。今はまだ、機械が、手作りよりも良いものを作ることは難しいそうですが、機械の技術もどんどん進歩しています。これからの時代は、これまでの1000年とは全く違う新たな製法で、古来の知恵が活かされていくかもしれない、と話してくれました。伝統の技と心を継承しながら、時代の変化や機械の進化を見据え、常に最高の麹造りを志す雅寛さん。糀屋三郎右 衛門の麹造りがどのように進化していくのか、今後も目が離せません。

(文・橋ヶ谷風花)

雪の花のパッケージを思わせる糀屋三郎右衛門の看板、昔懐かしい雰囲気の店構え
画像:

雪の花(麹)(200g)446円(税込 482 円)

リンク:商品の詳細はこちら

みなさんご存知の「雑穀甘酒スイーツ」作りに欠かせない「麹」を提供してくれているのが ここ「雪の花」でおなじみの麹屋三郎右衛門さん。なんと東京のど真ん中にあるんです。とはいえ麹屋さんのまわりだけなぜかタイムスリップしたみたいに静かな住宅街。ここで雪の花が作られているのかと妙に感動。そして麹を作る工程を聞いて安定した麹を作るのはとっても難しくホントに根気のいる仕事なんだと実感しました!