「雪の花」は、蒸した米に麹菌を植え付け、大谷石造りの麹室(こうじむろ)の中で、3日間繁殖させて作られます。室には、人がかがんで入れるほどの小さな入り口があり、中には培養中の米が敷かれた木箱がずらりと並んでいました。米の上には、稲藁のわらこもが被さっていて、木箱の中を保湿します。この状態で3日おくと、真っ白いほわほわの菌糸がかぶった麹になるのです。
とはいえ、ただ3日間放置しておけばいいわけではありません。重要なのは、室の中の温度管理。甘酒にも味噌にも使える「雪の花」に仕上げるには、40°C前後で繁殖させる必要があります。室の中には、鉄のパイプが通っていて、これがヒーターの代わりに。逆に温度を下げるときは、扇風機のような機器で風を送ります。毎回同じ質の麹を作るためには、室内の温度管理や米の状態に、常に気を配る必要があるのです。
できた麹は、一枚ずつ乾燥機に入れて低温乾燥させます。冬は一晩、夏は1日以上かけてよく乾燥させます。これにより、生の麹よりも長持ちする乾燥麹ができるのです。