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揚げ物、焼き物、煮物・・。毎日お世話になっている「OIGEN」さんに伺いました。
最寄りの東北新幹線「水沢江差」の駅に降り立つと大きな南部鉄器が。どんな所だろうとワクワクしながら向かいました。
北上山地という鉄山と、北上川に挟まれた岩手県水沢地区は鋳物工場が密集する地区。南部鉄器というと盛岡を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は水沢地区の方が歴史は長く、平安時代から主に庶民の道具となる鋳物をつくり続けています。今もなお多くの鋳物工場が存在していますが、鍋釜などの生活用品をつくる従業員を抱える会社はわずか。その中でもOIGENは自社ブランドを持ち、商品開発から流通まで一手に行っています。
鋳物づくりには、砂や粘土を焼き固めて型を作る江戸時代から続く伝統製法と、砂を使った機械でプレスして作った鋳型を使う製法があります。機械を使って型を作る場合でも、必ず職人が手で触って砂の湿度を最終確認します。
鉄は電気炉か、伝統的なキューポラで溶かします。1500度に熱せられて溶けて真っ赤になった鉄は、冷めないうちに素早く鋳型に流し込みます。流し入れる穴を「湯口」と言って、直径4〜7センチの湯口に素早く入れるには熟練の技が必要です。OIGENの新しいロゴマークはこの湯口をかたどったものだそうです。
なんと、同じ鉄でも、電気炉で溶かすか、キューポラで溶かすかで性質が異なり、商品によって炉を使い分けているのだそうです。
鋳型に流し込まれた鉄は、20メートルほどの長さの太い管の中で1時間かけてゆっくり回転しながら冷まされ、その後、エプロンショットという機械の中で鉄の小さな粒と一緒に回転させて表面の砂を落としていきます。最後の製品チェックは、目視と打音検査を行います。木槌で叩いた音の違いで中に空気が入っているかどうかがわかるのだそう。まさに職人技です。
鉄鍋の黒い色は実は、鉄の色ではなく、さび止めとして仕上げに塗った漆の色(現在では漆の高騰などによりカシュー塗料)。洗剤を使って洗いすぎると、この塗料が剥げて錆びやすくなるので、洗いすぎは厳禁。乾かすときも空焚きはしない方がよいということでした。
社長の及川久仁子さんは「わたしたちは地元に密着し、そして人にこだわり、人が日々使う家庭用品にこだわっています。だから、鉄器はどんどん使って育てていってほしい。」と語ってくださいました。重くて、錆びが心配という方もいるかもしれませんが、南部鉄は料理の味を引き立てます。南部鉄の蓄熱性によってふっくらと、またカリッと仕上がります。低い温度でも一定に保てるのでクレープなどには最適です。高キビハンバーグも南部鉄で焼くとふっくらできますよ。また、火の直接当たっているところだけが熱くなるのではなく、全体に温まるので、ご家庭のコンロでも均一に焼けるのも魅力です。
OIGENのモットーは「愉しむをたのしむ」。道具を育てることを愉しむ、楽しんでいる自分を愉しむ。だからこそ、OIGENの商品は機能性だけでなく、遊び心が満載。見て、使って楽しくなる商品がいっぱいです。
世界のトップデザイナーとコラボレーションしたり、国内外のシェフに愛されるのも納得です。そして、社長をはじめ「愉しむをたのしむ」というモットーがひしひしを伝わって来る訪問でした。工場内にあるファクトリーショップは、どても居心地のよい空間に素敵な鉄器が並んでいます。ぜひ足を運んでみて!
(文・こばやしはつこ)
南部鉄クックトップ 丸深形(中) 直径20cm8,000円(税込 8,800 円)
少ない水で煮込みができる他、スープ・揚げ物にと様々な用途でフル活用できる鉄鍋。
南部鉄は調理する際鉄分が食品に溶け込むので貧血予防にも。IH対応。
南部鉄クックトップ 丸深形(大)直径24cm12,000円(税込 13,200 円)
南部鉄フライパン 小 約20cm6,000円(税込 6,600 円)
厚みがあり均一に熱が行き渡るのでムラ無く焼ける。
しかも蓄熱性が高いので一度加熱すれば弱火でも温度が下がりにくい。
また二価鉄という体に吸収されやすい鉄分が摂れます。
南部鉄フライパン 大 約24cm7,000円(税込 7,700 円)
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