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料理の腕がワンランクもツーランクも上がる「手打ち包丁」を製造している渡辺刃物製作所を訪れました。
場所は、新潟県三条市。新潟県のほぼ中央に位置する、金物の工業が盛んな街です。
取材に応えてくれたのは、6代目の鍛冶職人・渡辺真一さん(43)。100年以上の歴史を持つ製作所は、意外にも、淡いグリーンのモダンな外観の建物でした。
三条市の金物工業の歴史は、今から350年前の江戸時代に遡ります。当時、三条市では、毎年のように水害が起こり、食料を十分に確保できなかったそうです。そのため、将軍が江戸から鍛冶職人を招き、農民の副業として「和釘」の製造を勧めたことから始まりました。
渡辺刃物製作所は、1890年代に創業。指を入れる穴のない「握りばさみ」の製造からはじまりました。包丁を作り始めたのは、真一さんの父・渡辺岩男さんの代から。現在では、真一さん・お姉さん・その旦那さんの3人で営んでおり、年間約600本の包丁を製造しています。
また現在、その95%が海外からの注文だそうです。手打ちの割り込み鋼包丁は日本独特のもので、その使い勝手の良さが口コミで世界各国の有名ホテルのシェフやコレクターに広がったとのこと。日本で販売しているのは、なんと、ほぼ「つぶつぶ」だけなのです。
包丁の製造は、大きく分けて3つの工程があります。
1)鍛造
「ヤスキの白紙2号」と呼ばれる、日本刀にもっとも近い鋼を使用。その鋼を高温で熱したあと、機械で圧をかけて形を整えていきます。その後、鋼を締める作業が、「ならし打ち(例鍛造)」です。250℃で熱した鋼を、機械を使って打っていきます。切れ味がよく、欠けに強くなります。
2)熱処理
鋼を780℃で焼いたあと、水で一気に冷やす「焼き入れ」。180℃で空冷する「焼き戻し」を行い、鋼を硬く、粘り強くします。長切れして、割れに強くなります。
3)研磨
そして、鋼を研ぎ、磨いていくプロセスを何度も繰り返し、切れ味の良く、使い勝手のよい形状の包丁に仕上げていきます。
最後に、丈夫で水に強い「栗の木」でできた柄を取り付け、「つぶつぶ」という名前を彫って完成です。名彫りは、下書きなしの一発勝負!皆さんの手に届く包丁は、まさに世界に一つだけの包丁なのです。
現在、三条市で手打ち包丁を製造している工場は5件。昔は、鍛冶屋、磨き屋、焼き入れ屋・・・と、工程ごとに工場が分かれていたそうですが、廃業する製造所が増え、現在、渡辺刃物製作所では、ほぼすべての工程を自分たちの工場で行っています。
もともともの作りが好きだという渡辺さんは、前職で機械の設計に携わっていたとのこと。その技術を生かし、機械の一部を自分で設計して作っているそうです。例えば、「ならし打ち」の機械は、基礎を2mも掘って頑丈に作ることで、通常よりも高い圧力をかけられ、丈夫な包丁を作ることができるのだとか。
鍛冶名人が多い街で、より高い品質を追い求め、また、体調や年齢に左右されることなく品質を保ち続けるために、機械や道具へのこだわりには並大抵でないものを感じました。
包丁やナイフの他に、鋳造技術を生かしたオリジナルジュエリーの制作にも取り組み、人気を集めています。包丁の品質を追い求めるとともに、新しい商品開発にも積極的に取り組む渡辺刃物製作所、その進化がこれからも楽しみです。
(文・橋ヶ谷風花)
手打ち包丁-両刃- 黒打ち菜切り 16.5cm18,000円(税込 19,800 円)
寿司職人の特注包丁を手作りしている新潟の渡辺真一さんの手作業の逸品。
刃には安来鋼を、柄の部分は丈夫で水に強い栗の木使用。「つぶつぶ」の名前が入っている。
菜切りとはいえ、カボチャなど堅いものを切ると欠ける原因に。「万能包丁」で切る方が欠ける心配が少ない。
ステンレスではないのでそのままにしておくと錆が出やすいので、使い終わったら必ず、すぐに濡れ布巾で汚れを落としてから乾いた布で拭くこと。
メンテナンスも充実。詳しくはつぶつぶネットショップまで。 ※刃研ぎ直しなど実費1,500円〜(送料別途)
手打ち包丁-両刃- 黒打ち万能 18cm23,000円(税込 25,300 円)
寿司職人の特注包丁を手作りしている新潟の渡辺真一さんの手作業の逸品。
刃には安来鋼を、柄の部分は丈夫で水に強い栗の木使用。「つぶつぶ」の名前が入っている。
菜切りとはいえ、カボチャなど堅いものを切ると欠ける原因に。「万能包丁」で切る方が欠ける心配が少ない。
ステンレスではないのでそのままにしておくと錆が出やすいので、使い終わったら必ず、すぐに濡れ布巾で汚れを落としてから乾いた布で拭くこと。
メンテナンスも充実。詳しくはつぶつぶネットショップまで。 ※刃研ぎ直しなど実費1,500円〜(送料別途)
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